背景
- 日経 xTECHが出版した「受発注革命」というタイトルの記事。B2Cの業界は古くからECが発展しているが、B2B受発注はアナログが多い。
- 「未来投資戦略 2018 ―「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革―」にて商流EDIと金融EDIについて言及されている。EDIとはElectronic Data Interchangeの略。
ⅲ)金・商流連携等に向けたインフラの整備
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf
・本年 12 月の全銀 EDI システムの稼働、平成 32 年までの送金電文の全面的 XML 化を着実に実現するため、全国銀行協会、商工会議所等の金融界・産業界や関係省庁が連携し、周知活動や当該システムの活用事例の共有などの取組を推進する。
・企業間の受発注の電子化(商流 EDI)の共通化を引き続き推進するとともに、金融界・産業界・関係省庁が連携して、全銀 EDI システムを用いた送金情報と商流EDI の接続に係る実証実験を本年度中に実施するなど、金融 EDI と商流 EDI の連携を推進する。
・手形・小切手機能の電子化に向け、金融界・産業界・関係省庁が連携して議論を行っている「手形・小切手機能の電子化に関する検討会」において、諸課題の検討を進め、本年度中を目途に課題の整理を行う。
・納税・公金納付に関し、来年 10 月の地方税共通納税システム稼働に向けた準備を引き続き進めるとともに、金融機関、関係府省庁、地方自治体、FinTech 企業などの関係者が連携した「税・公金収納・支払の効率化等に関する勉強会」において、IT による利用者利便の向上・効率化に向けた課題等について、本年度中を目途に検討を進める。
上に登場する、Society 5.0とは。「未来投資戦略2018年」の中に登場している。(Society 4.0は探しても見つかりませんでした)
昨年末の「新しい経済政策パッケージ」(平成 29 年 12 月8日閣議決定)では、2020 年までの3年間を生産性革命・集中投資期間とし、大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員することとした。「Society 5.0」の実現に向けて、最先端の取組を伸ばし、日本経済全体の生産性の底上げを図るため、様々な施策を講じることとした。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf
「新しい経済政策パッケージ」とは。これが一番上流のコンセプト。
生産性革命を実現し、人工知能、ロボット、IoTなど、生産性を劇的に押し上げるイノベーションを実現していく。人手不足に悩む中小・小規模事業者も含め、企業による設備や人材への投資を力強く促進する。あらゆる施策を総動員し、力強い賃金アップと投資を後押しすることで、デフレ脱却を確実なものとし、名目GDP600 兆円の実現を目指す。
https://www5.cao.go.jp/keizai1/package/20171208_package.pdf
上記をまとめると、「商流EDIと金融EDIがあれば企業間の取引をXMLでやりとりできるので、日本全体の会社間商取引に関わる処理コストを減らせる。それにより余ったリソースを使って日本のGDPを上げる。」
関連する団体
- 中小企業庁 (上部組織は経済産業省)が指揮
- https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/edi.htm
- 中小企業庁経営支援部技術・経営革新課(イノベーション課)
- 中小企業共通EDI標準
- 中小企業庁が「特定非営利活動法人ITコーディネータ協会」へ依頼。
- 商流EDIの標準化
- https://www.itc.or.jp/datarenkei/
- 会長。66歳(2019年時点)。9年前のTweetが最後。
- Wikipedia: 中小企業共通EDI標準
- つなぐITコンソーシアム
- 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会内の組織。
- 入会方法
- 「入会申込書に記入・押印頂き、PDFにてメールでお送りください。」
- https://tsunagu-it.com/cons/
- 一般社団法人全国銀行協会
- 金融EDI(ZEDI)の標準化
- https://www.zenginkyo.or.jp/abstract/efforts/smooth/xml/
関連する仕様・プロトコル
- United Nations Centre for Trade Facilitation and Electronic Business中小企業共通EDI標準
- UN/CEFACTを拡張して作っている。
- v1 (2018.3)
- https://www.itc.or.jp/datarenkei/j_edi/firstedition.html
- 注文のプロトコルのみを定義した様子。
- v2 (2019.6.3)
- 標準企業コード
- これが使われるのか謎だけど。発行は有料。国レベルで連携出来ているのかもよくわからないが。
- https://cii-kcode.jipdec.or.jp/code_list.html
- EDIFACT (UN/EDIFACT)
- EDIFACT は、商業部門および非商業部門での EDI 取引の国際標準
- 国際EDI標準
- UN/EDIFACT = The United Nations rules for Electronic Data Interchange for Administration, Commerce and Transport
- CEFACT (UN/CEFACT)
- XML Schema
- https://www.unece.org/cefact/xml_schemas/index
- XML schemaのリリース毎にtagを売ってあるので差分を追える。
- Core Component
- CEFACT入門
- UN/CEFACT = United Nations Centre for Trade Facilitation and Electronic Business
- XML Schema
プロトコルの所感
- ビジネスレイヤの分析はしっかりしているので参考になる
- ユースケースやシーケンスはちゃんと整理できていて納得感がある。
- 設計、実装レイヤは緩いので怪しい
- DTDが無いし、スキーマの仕様書がExcelで書かれており、仕様として不十分な印象。
- これだけで良く実装できるなぁと思う。実際に運用し出すと問題多発しそうなな緩い定義。XML Schemaが無いからメッセージの検証も出来ないし、大丈夫なのかと不安になる。
- 通信プロトコルが明示されていないのはわざとなのか。まぁいいけど。
- 文字数やフォーマットといった細かいことは受け手側依存と書かれている。プロトコルなのに。
- こんなにPDFの長々としたドキュメントじゃなくて、xsdファイルをgithubに上げるだけで終わるのに。この辺はお役所感出てる。
- 本家はxsdがしっかり定義されている。
- 中小企業共通 EDI 実装ガイドライン V2.0_draft_r10
- https://www.itc.or.jp/datarenkei/dlfiles/edi/EDI_deploy_guideline_v2.0_draft_r10.pdf
- この資料を見ると悲しくなります。具体的すぎる実装内容、しかもWindows端末がグローバルに出ている前提で作られている。
共通EDI実装
- EC Orange
- パッケージ。売り切り。1,000万円~
- 中小企業共通EDIに対応しているらしいが、具体性は不明。
- > 取引先のデータを同一形式(自社用)のCSV、Excel、またはXMLとして扱うことができます。
- EcoChange
- https://www.ecochange.jp/ja/about.html
- 初期 167.7万円〜、運用4,500円/月
- 「取引先のデータを同一形式(自社用)のCSV、Excel、またはXMLとして扱うことができます。」と書いてあるので、共通EDIに標準で対応しているのかちょっと怪しい。
- インフォマートのBtoB受発注
- https://www.infomart.co.jp/asp/index.asp
- 初期 40万円〜、月額31,800円〜
- 花王の事例
- https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00784/052700001/
- インフォマートのBtoB受発注を使っている様子。
- タイミングと機能から察するに、中小企業共通EDI標準 v1。
- https://www.infomart.co.jp/asp/index.asp
- EDiFAS
- ACMS
ZEDI実装
- 2018/12/25 AM8:00 JSTからZEDIが稼働しだした。
- 銀行全体の65%にあたる91行の銀行と、信用金庫業態(信金中央金庫と229の信用金庫)の合計321金融機関が、サービス提供開始当初から参加。
- 2019年8月5日時点で、320金融機関。
- 例: みずほ銀行
- https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/oshirase/zedi181225.html
- 利用量:初期10万円、月額5万円。50円/件。(税抜き)
- 明細部分がXMLでなかったりするのでよくわからない。
- 中小企業がターゲットのはずなのに高額。
参考資料
- Vol.70 企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!|
- 「つながらないEDI」をつなぐ、共通EDIの破壊力
- 「IT導入補助金」「ものづくり補助金」活用で次世代EDIを導入することのメリット
関連用語
所感:業界自体、基本となる用語の定義が曖昧なので、言葉の定義や使われ方も曖昧。。。
- Web-EDI
- 定義がよくわからないですが、Webの画面からEDI用のXMLファイルを入れたり出したりする機能のことを指している様子。
- インターネットEDI
- かつてのISDNによる専用線接続に対して使われている用語。
- 要は、ISDN以外による通信のことを指している様子。インターネットVPN、プライベートVPN、LAN。TCP/IPによる伝送あたりをなんとなく指していそう。
- EDIのCSVファイルをメールで送って
- メールEDI
- EDI用のXMLファイルをメールで添付して送ることを指しているらしい。
- 登場する前に滅びて欲しい感はある。
- 翌々考えてみると、手元にコピーは残るし、検索はしやすい。伝送方法にSMTPを用いるのはメリットだと思ったしかし、以下のデメリットが大きすぎる。
- リアルタイム性は失われるし、送信側と受信側のどちらの責任になるのかがあやふやになる。インターネット上でロストする場合がある。在庫管理に絡んできたときに、排他制御が無理。
サンプル
- たくさんEDIについて話されているけど、中小企業共通EDI標準のXMLで作られたサンプルファイルはどこにあるの・・・?
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